Good bay sweetpain 『For dear...』

「初めて実った果実は甘かった」



『だけど苦い涙の味がした』

　オレはベッドから起き上がる。段ボール箱にマットレスを敷いただけのそれの寝心地には大分慣れた。

　半身を起こし、窓を見る。向かいの家の屋根に雪が少し残っていた。
　携帯を見る。鍋を囲む若者たちが一様に笑っている写真が待ち受けになっていて、そこに映し出されたデジタル時計が12月25日AM9：30と表示していた。少し寝すぎた。
　机を見る。いつもつけていたチョーカーから金のメダルのペンダントトップがなくなっている。
　胸元を見る。チェーンでつながれた銀の指輪が窓からの光を反射して輝いていた。

　それらすべてが、クリスマスイブが終わったことを告げていた。

　昨日、オレは叫んだ。水那先輩への答えを。
　答えなんて本当は最初から決まっていた。ただ、それを言う勇気がなかった。
　だから、正解だったのかもしれない。いつ言い出すかを宣言したのは。そうやって逃げたがる自分を縛ることができたのだから。
　そして、水那先輩とオレの関係が変わった。
　彼氏と彼女。その表現がまだくすぐったい。オレみたいな男勝りが彼女。少し笑える。
　だが、くすぐったい気持ちであふれた胸の中に小さな棘がちくりと刺さっている。
　オレが叫んだ後にすれ違ったナズナ先輩の目、彼女の叫びが忘れられない。
　それが、オレの幸せは彼女の不幸の上に成り立っていることを思い出させる。
　オレに続いて叫んだ彼女は、一体どういう気持ちで叫んだのだろうか。

「……」

　いっぱい悩んだ。昨日の夜、眠りにつくまでずっと。
　そして、オレなりに考え続けて出した答え。

「…待ってるから」

　受け入れてもらえるまで。
　その涙が乾くまで。
　一緒に歩けるようになるまで。

　雪が降る鎌倉の町。
　共に戦った仲間たちと笑いながら囲んだ鍋。
　水那先輩から受け取った彼のシルバーリング。
　オレから差し出した金のペンダントトップ。
　今は、このまま動かない。このまま、変わらない。

　これまでと変わったもの。
　鎌倉に雪が降ったこと。
　机の上に転がる両面が同じラッキーコイン。
　その隣にあるペンダントトップのないチョーカー。
　胸元に輝くシルバーリング。
　水那先輩とオレの関係――の、名称。
　今はこれ以上望まない。変わるつもりはない。
　貴女が笑ってくれるまでは。
　だから

「――これからも、一緒にいてくれ」

　大事な、親友へ。

「――だから、しばらく待っててくれ」

　大事な、恋人へ。














　お、おわったぁーーーーーーーーーー！
　どうも、おかです。ここまで読んで下さり本当にありがとうございます。
　肝心のイブの話は書いてないけどいいよね！リプレイ参照！（投げやり）
　書き始めた当初はフラれる気持ち9割くらいで書いていたので「付き合って」と言われたときは「…マジで？」とモニタの前で何度も呟き現実を受け入れられませんでした。（駄目親）
　そのため最終章『For～』は何の準備もしていなかったので難産でした。フラれてたらスラスラいけたかもしれない！（※結局どちらも考えてない）
　序章の『終わりの～』は実際に交わしていたお手紙、他は実際にメッセでのログがあったのでそんなに考えずに書けたのですが『For～』だけはほぼ完全に自分で事柄を纏めただけなので拙くてゴメンね！許して！ダメ？そこをなんとか！！
　数年ぶりに書いた本気SSだったので燃え尽きました。でも楽しかったです！
　若干アレげなのは許して！（冒頭のセリフとか。途中何も考えてません）脊椎反射で文章書いた！こんなの久しぶり！
　それでは、失礼します。



　スペシャルサンクス！

　水那・冴兎PL様（掲載許可ありがとう！）
　金重・ナズナPL様（勝手に使わせてもらったよ！←）
　西灰三MS様（NPCの２人の名前を使わせてもらいました。そしてイベシナややこしくしてすみませんでした。_。/|_でもリプレイの最後の2人だけ、最後の2人だけシリアス！）
　おかのおかーさん（暖かい布団とかカーディガンとか出してくれた！）

　そして、ここまで読んでくれたあなた。